B型事業所の求人票・面接準備をAIで整える【職員募集・ChatGPT】
2026-08-24
新しい職員を採用しようとハローワークや福祉人材センターに求人を出しても、応募がなかなか集まらない。来たとしても、面接で何を聞くかは面接官によってバラバラで、後から「あの人には何を確認したんだっけ」となる。就労継続支援B型の運営者・サビ管であれば、一度はこの詰まりに当たったことがあるはずです。事業所の記録や研修資料の作成にChatGPTを使ったことがある方は多いと思いますが、採用の場面ではまだ手が回っていない、という声もよく聞きます。
求人を出す先は、ハローワーク、都道府県の福祉人材センター、Indeedのような求人サイトと複数にまたがることが多く、媒体ごとに文字数や様式が違うため、毎回書き直すのも地味な手間です。しかも求人票には、職業安定法で明示が義務づけられている項目があり、これを漏らすと後々のトラブルにつながりかねません。
この記事では、まずChatGPTで求人票と面接の質問リストの下書きを作るところから、複数媒体への展開、そして採用選考で聞いてはいけない質問を押さえるところまでを扱います。
この記事はこんな方向けです
- 求人票を出しても応募が集まらない、あるいは複数の媒体に出す度に文章を書き直している運営者・サビ管の方
- 面接で何を聞くかが面接官によってバラバラで、評価の基準が揃っていないと感じている方
- ChatGPTは記録や広報で使ったことがあるが、採用の場面ではまだ使っていない方
読み終える頃には、求人票と面接の質問リストのたたき台が手元にできている状態を目指します。
求人票をAIで作成し、面接の質問リストも下書きする
求人票のたたき台を作る
求人票には、職業安定法(第5条の3)と同法施行規則で明示が義務づけられている項目があります。業務内容、賃金、労働時間、就業場所といった見落としにくいものだけでなく、試用期間、有期労働契約を更新する場合の基準、募集者(事業所)の名称、就業場所における受動喫煙防止措置も明示の対象です。加えて2024年4月の改正で、「従事すべき業務の変更の範囲」「就業の場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)」の3つが追加されました(厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」)。
つまり、入社後の配置転換や契約更新の見通しまで含めて書く必要があるということです。これらを漏らさず、かつ事業所の強みも伝わる文章にするのは、意外と骨が折れる作業になります。
ChatGPT(chatgpt.com、無料で使えます)に、必須項目と事業所の情報を渡して、たたき台を作ってもらいます。
就労継続支援B型事業所の職員(職業指導員/生活支援員)の
求人票のたたき台を作ってください。
次の項目を、抜け漏れなく含めてください。
1. 業務内容(変更の可能性がある場合はその範囲も)
2. 雇用形態・労働契約の期間
3. 試用期間の有無と、ある場合はその長さ・条件
4. 有期契約の場合、更新の基準(通算期間や更新回数の上限を含む)
5. 就業場所(変更の可能性がある場合はその範囲も)
6. 始業・終業時刻、所定時間外労働の有無、休憩、休日
7. 賃金(形態・金額の目安)
8. 加入保険(健康保険・厚生年金・労災・雇用保険)
9. 募集者である事業所の名称
10. 就業場所における受動喫煙を防止するための措置
11. この事業所ならではの特徴・働きやすさ(下の情報から拾う)
推測で数字や制度を補わないでください。
書いていない情報は「(要確認)」と書いて空欄にしてください。
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(ここに事業所の情報を箇条書きで貼り付ける)
3・4・9・10あたりは、書き慣れた求人票ほど抜けやすい項目です。プロンプトに番号で並べておくと、AIが「(要確認)」を返してくれるので、埋め忘れに気づけます。
出てきたたたき台は、ハローワーク用の様式に流し込む前の土台です。福祉人材センターやIndeedなど別の媒体に出すときは、同じ内容を「文字数を〇〇字以内に圧縮して」「見出しを箇条書き中心にして」のように条件を変えて頼めば、一から書き直さず調整だけで済みます。
求人が「基本情報だけ」で終わっていると応募につながりにくいとよく言われます。賃金や勤務時間に加えて、この事業所ならではの強みや働き方の工夫を必ず1項目分入れるようにしてください。
面接の質問リストを作る
求人票と同じく、面接で何を聞くかも、ChatGPTに事業所が求める人物像を渡して質問リストにしてもらうと、面接官による差が減ります。
就労継続支援B型事業所の職員採用面接で使う、
質問リストのたたき台を作ってください。
事業所が求める人物像は以下の通りです。
(ここに求める経験・姿勢などを箇条書きで貼り付ける)
・経験やスキルを確認する質問
・利用者への関わり方や価値観を確認する質問
・働き方の希望(勤務日数・シフトなど)を確認する質問
の3カテゴリに分けて、各3問程度にしてください。
次に挙げる事項に触れる質問は、一切含めないでください。
- 本籍・出生地
- 家族の職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産
- 住宅状況(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
- 生活環境・家庭環境
- 宗教
- 支持政党
- 人生観・生活信条
- 尊敬する人物
- 思想
- 労働組合の加入状況や活動歴、学生運動などの社会運動
- 購読新聞・雑誌・愛読書
最後のリストは削らないでください。理由は次の章で説明します。

面接で聞いてはいけないことを、AIまかせにしない(精度・機密の勘所)
厚生労働省は「公正な採用選考の基本」の中で、応募用紙への記載や面接での質問として避けるべき事項を、大きく2つのまとまりで示しています(厚生労働省「公正な採用選考の基本」)。
1つは「本人に責任のない事項」で、本籍・出生地、家族の職業や病歴など、住宅状況、生活環境・家庭環境がこれにあたります。もう1つは「本来自由であるべき事項」で、宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合や学生運動などの社会運動への関わり、購読新聞・雑誌・愛読書が挙げられています。上のプロンプトに並べた11行は、この2つのまとまりをそのまま写したものです。
同じページでは、選考の「方法」についても触れられています。身元調査を行うこと、本人の適性・能力に関係のない事項を含んだ応募書類を使うこと、合理的・客観的に必要性が認められない健康診断を選考時に実施することは、いずれも避けるべきものとされています。質問文だけを気にしていると、ここが抜けます。
ChatGPTに質問リストを作らせるとき、この条件を外してプロンプトを投げると、「ご家族の構成を教えてください」のような、一見自然だけれど実はNGな質問が普通に混ざってきます。生成AIは「面接でよく聞かれる質問」のパターンから作文するため、そのパターンの中に古い慣習的な質問が含まれていることがあるからです。プロンプトにNG事項を明記するだけでなく、出てきた質問リストは、必ず事業所の管理者やサビ管が一度目を通してから使ってください。
応募者の履歴書・職歴書をAIに読ませたい場合は、もう一段の注意が要ります。氏名や連絡先など特定できる情報を削ってから貼り付けるのが前提ですが、それ以前に、無料版・Plus版のChatGPTは、こちらから切り替えない限り、打ち込んだ内容が学習に回りうる設定で動いています。設定の「データコントロール」を開き、モデル改善への提供をオフにしてから業務で使い始めてください。個人情報を含むデータをAIに入れるときの考え方は、支援記録・モニタリングの負担をAIで減らすで、利用者情報を例に詳しく整理しています。
募集のたびにゼロへ戻さない
ここまでの手順は、1回の募集であれば誰でも試せます。ただ、B型事業所の採用は年に1回では終わりません。欠員が出るたびに、あるいは事業拡大のたびに繰り返され、そのたびに前回どう書いたかを思い出すところから始まります。
目指したいのは、募集をかけると決めた時点で、ハローワーク用・福祉人材センター用・求人サイト用の原稿が同時に出てくる状態です。事業所の基本情報、明示が必要な項目、よく使う強みの表現、媒体ごとの文字数と様式を一度そろえておけば、次からは変わった箇所——賃金の改定や勤務シフトの変更——だけを差し替えれば全媒体分が揃います。面接の質問リストと評価シートも同じ場所に置いておけば、面接官が誰であっても同じ観点で比較できます。
ここまで組めば、募集の立ち上げに人が張り付く必要がなくなります。媒体の組み合わせと様式は事業所ごとに違うので、この部分は設計から伴走できます。
採用の記録を、次の採用の土台にする(Claude Codeで一段上へ)
もう一段先があります。採用が終わった後に残るもの——どの媒体から何人応募が来たか、どの質問で判断が分かれたか、採った職員が定着したかどうか——を、次の募集に返す部分です。
僕が普段使っているAIの作業環境(Claude Codeというツール)では、求人票・質問リスト・応募者ごとの評価メモを一つの場所に置いたまま扱えます。前回の求人票を土台に差分だけを更新し、同時に「前回はどの媒体からの応募が採用まで進んだか」を並べて見られるので、次に出す媒体の選び方そのものが変わってきます。求人の文面を良くする話ではなく、どこに出すかを実績で決める話になります。
とはいえ、何を記録として残すべきかは、事業所の規模や職種によって変わります。汎用的な手順として書けるのはここまでです。Claude Codeの導入・設計から伴走します。
よくある質問
求人票は無料の範囲で作れますか?
ChatGPTの無料版で、たたき台を作るところまでは十分に試せます。媒体ごとの様式に流し込む作業や、複数の媒体を並行して管理する仕組みづくりまで踏み込む場合は、前章の仕組み化を検討する形になります。
ハローワークの求人票の様式に、AIが出した文章をそのまま貼れますか?
そのままは貼れないと考えてください。ハローワークの求人申込みは項目ごとに入力欄と字数の制限が決まっているため、AIが出した長めの文章は、欄に合わせて削る作業が必ず入ります。先に「仕事の内容は〇〇字以内」「事業所の特徴は〇〇字以内」と字数を指定して出させると、この削り作業がほとんど要らなくなります。
応募が集まらないのは、求人票の書き方が原因なのでしょうか?
求人票だけが原因とは限りません。B型事業所の場合、そもそも事業所の存在が地域に知られていないために、求人を見た人が事業所名を検索しても何も出てこない、という詰まり方をすることがあります。求人票を整えるのと並行して、事業所の発信そのものを見直す価値はあります。地域への発信はB型事業所の集客|見学希望を増やすチラシ・SNS文をAIで作るで扱っています。
まとめ、そして次の一歩
求人票と面接の準備は、多くのB型事業所で「その都度、誰かが一から作る」ものになっています。明示が必要な項目を漏らさずChatGPTに渡してたたき台を作り、公正な採用選考の観点を必ず人が確認する。この2つを押さえるだけで、採用活動の負担は大きく変わります。
次に募集をかける予定があれば、まずは求人票のたたき台をChatGPTで作ってみてください。求人票の型ができれば、研修資料や利用者募集の広報文など、事業所の他の文書づくりにも同じ考え方を広げられます。仕組み化の相談をしたい場合は、お気軽にご相談ください。
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