市場・競合調査をAIで時短する手順【Deep Research・Gemini Notebook】
2026-07-27
市場調査や競合調査をAIに手伝わせる、というのはもう試した方も多いと思います。ChatGPTやGeminiに「◯◯市場について教えて」と聞いてみた、という会社はここ1、2年で一気に増えました。問題は、返ってきた答えを実際の判断に使えるかどうかです。出てきた内容が一般論すぎて、自社の状況に当てはめにくい。競合3社を並べて聞いても、比較の軸がバラバラで結局自分でExcelに整理し直す羽目になる。そして何より、AIが出してきた数字や事実を、そのまま提案書や社内資料に使っていいのか、確信が持てない。
この記事では、「レポートの土台をAIに作らせ、裏取りをして、次の調査でも使える資産にする」手順を書きます。Gemini Notebook(旧NotebookLM)は案件ごとのナレッジ蓄積で使っていて、その延長で市場・競合調査に当てはめた手順です。使うのはGemini(Deep Research機能)とGemini Notebook、どちらもGoogleアカウントがあれば無料で使えるものです。特定の有料ツールを売るための記事ではありません。公式ヘルプで手順を確認したうえで、つまずきやすいポイントと合わせてまとめています。
この記事はこんな方向けです
- ChatGPTやGeminiに市場調査・競合調査を投げたことは既にあるが、出てくる答えが一般論すぎて「なんとなく」で止まっている経営者・DX担当・企画担当の方
- 競合比較をAIにやらせても、毎回バラバラな軸で出てきて自分で整理し直している方
- AIが出した数字や事実を、そのまま提案書や社内資料に使っていいのか判断がつかない方
すでにAIを触っている前提で書いています。手順は改めて確認しつつ、後半の「裏取り」と「仕組み化」を中心に読み進めてもらえれば、そのまま自社の調査業務に落とし込める形になっています。
一番効くのはGeminiの「Deep Research」
Geminiアプリ(gemini.google.com)には、通常のチャットとは別に「Deep Research」というモードがあります。プロンプト入力欄の「ファイルを追加(+)」から呼び出せます(公式ヘルプ)。表示位置はGemini側のアップデートで変わることがあるので、見当たらない場合は入力欄まわりのアイコンを一通り確認してみてください。通常のチャット応答が「知っていることをその場で答える」のに対し、Deep Researchは実際にインターネット上の複数の情報源を自動で巡回し、内容を突き合わせてから1つのレポートにまとめてくれます。市場の規模・成長性、競合の製品戦略、想定される顧客層の反応まで、まとめて調査できるのが利点です。
使い方は次の通りです。
- gemini.google.com を開き、プロンプト入力欄の「ファイルを追加(+)」→「Deep Research」を選ぶ
- 「誰が」「何のために」「どんな情報が欲しいか」を具体的に書いてプロンプトを入力する(単語だけの入力だと、レポートの精度が下がる)
- **プロンプトを送ると、すぐには走らずリサーチプランが提示される。**内容を確認して「リサーチを開始」を押す(直したいところがあれば「プランを編集」で調整してから開始する)。ここで止まっていることに気づかず「動かない」と思う人が多いポイントです
- レポート作成には通常5〜10分ほどかかる。複雑なテーマだとさらに時間がかかることもある
プロンプトの例です。
[自社の商品・サービス]を、[想定する顧客層]向けに展開することを検討しています。
以下を、信頼できる情報源を明記しながら整理してください。
1. [対象とする市場]の規模感と、直近の動き
2. この領域で活動している主なプレイヤー3〜5社と、それぞれの訴求軸・価格帯・強み弱み
3. 顧客側が実際に困っていること(検索や記事から拾えるもの)
4. 自社が入り込める余地がありそうな切り口
推測ではなく、実際に確認できた情報源をもとに書いてください。
情報源が不明な内容は「未確認」と明記してください。

無料版のGeminiでもDeep Researchは使えますが、1日に実行できるリサーチの回数には上限があり、Google AI Pro・Google AI Ultraではこの上限がより高く設定されています。上限の具体的な回数はGoogle側の運用で変わることがあるため、頻繁に使う場合はアプリ内の表示で都度確認するのが確実です。まずは月に数回、重要な調査に絞って無料版で試してみるので十分です。
レポートを"使い捨て"にしない: Gemini Notebookに溜めていく
Deep Researchのレポートは、その場で読んで終わりにしてしまうと、次に似た調査をするときにまたゼロから聞き直すことになります。ここでGemini Notebook(旧NotebookLM)を使うと、調査を"資産"に変えられます。
やり方はシンプルです。
- notebook.google.com を開き、調査テーマごとにノートブックを1つ作る(例:「AI導入支援 競合調査」)
- Deep Researchが出したレポートをそのままソースとして追加する(コピー&ペーストしたテキストや、エクスポートしたファイルを追加できる)
- 競合サイトはURLをそのままソースとして追加する(Webページをソースにできます。ただし取り込まれるのはHTMLのテキスト部分です)。展示会で拾ったパンフレットは、スマホで撮影した画像をそのまま追加できます(PDFにしなくても構いません)
- チャット欄で「A社とB社の価格帯の違いは?」「これまでの調査で、まだ裏付けが取れていない主張は?」と聞く
Gemini Notebookは、追加したソースの範囲内だけで答えるツール(source-grounded型)なので、蓄積すればするほど「自社の競合調査の記憶」として育っていきます。ここが一番のポイントで、単発の調査で終わらせず、同じノートブックに毎回足していくと、半年後には自分たちだけの競合データベースになります。
なお、上限はプランで変わります。無料(Standard)は1ノートブックあたり50ソース・作成できるノートブックは100件、Plusは100ソース、Proは300ソースまでです(公式ヘルプ)。調査テーマが多岐にわたる場合は、テーマごとにノートブックを分けておくと運用しやすいです。
精度と裏取りを詰める("なんとなく"を卒業するポイント)
調査結果が「なんとなく」のままになる背景には、主に3つの理由があります。
1. AIの要約は、もっともらしい間違いを含むことがある
Deep Researchは複数の情報源を巡回してまとめてくれますが、生成AIである以上、事実と少し違う数字や、古い情報をそのまま拾ってしまうことがあります。レポート内に出てくる数値・固有名詞・「◯社が◯円で提供」といった具体的な主張は、そのまま提案書や意思決定に使う前に、必ず元の情報源(レポートに記載されたリンク)を自分の目で開いて確認します。「AIが言っていたから」で止めず、1次情報に当たる、という一手間が精度の分かれ目です。
2. 比較の軸を先に決めておく
競合3社を調べるときも、「価格」「ターゲット」「提供形態」のように比較したい軸をプロンプトの中で先に指定しておくと、出てくるレポートの比較がバラバラになりません。軸を指定しないまま「競合を調べて」とだけ頼むと、AIが選んだ軸で返ってくるため、後から自分で整理し直す手間が発生します。
3. 機密・未公開情報の扱い
自社の未公開の新商品構想や、価格戦略の検討中の数字をプロンプトに含めて調査させる場合は注意が必要です。無料の個人向けプランは、ツールやプラン・設定によっては、入力した内容が製品改善や人によるレビューに使われる場合があります。競合に知られたくない情報を含む調査は、Google Workspaceのような保護された環境で行うか、その部分だけ調査対象から外す、という線引きを事前にしておくと安心です。
さらに"仕組み化"するなら
ここまでの方法は、どれも「調査したいと思ったときに、人がGeminiを開いて聞く」という手動の作業です。もう一段上には、決まった競合・市場テーマについて、月次や四半期ごとに自動で最新情報を再調査し、変化があった点だけをまとめてSlackやメールに届ける、という仕組みがあります。

これは一度仕組みを組んでしまえば、担当者が毎回思い出して手を動かさなくても、競合の動きや市場の変化が定期的に手元に届くようになります。
こうした「自社が追いたいテーマ・調査の頻度・機密の扱い方に合わせた自動化の設計・構築」は、会社ごとに前提が違うため、記事だけで一般化するのが難しい領域です。もし自社に合わせて組んでみたい場合は、設計から伴走できます。
調査を"意思決定"まで繋げる(Claude Codeで一段上へ)
ここまでは「調査する」話でした。ただ、市場調査・競合調査の本当の価値は、レポートを作って終わりではなく、そこからどんな意思決定をするかにあります。
僕が普段使っているClaude Codeという開発環境は、調査レポートを読み込ませた上で、自社の既存の事業戦略ドキュメントと突き合わせ、「この競合の動きを受けて、自社のどこを見直すべきか」をたたき台として整理させる、といった使い方ができます。調査結果を踏まえて提案書や営業資料の下書きを作らせる、価格ページの訴求文を調整する、といった"判断の反映"も同じ環境の中でできます。
こうすると、調査・戦略・資料・実行が同じディレクトリの中でまとまって管理できるようになり、市場・競合調査は"情報収集"で終わらず、次の一手を考えるための土台になります。ここから先は自社の業務フローと事業戦略の中身次第で組み方が変わるため、記事だけで一般化できる範囲を超えています。Claude Codeの導入・設計から伴走します。
よくある質問
無料の範囲でどこまでできますか?
Gemini・Gemini Notebookともに無料利用枠があり、月に数回程度の調査であれば無料の範囲で十分回せます。調査頻度が高い企業では、有料プランへの移行や、先ほどの自動化の仕組みづくりを検討する形になります。
AIが出した数字をそのまま提案書に使ってもいいですか?
おすすめしません。Deep Researchのレポートは複数の情報源をまとめたものですが、生成AIである以上、事実と異なる内容が混ざる可能性はゼロではありません。重要な数値・固有名詞は、レポートに記載された情報源を自分の目で開いて確認してから使うようにしてください。
市場調査は自社だけで十分ですか? どこからプロに依頼すべきですか?
Deep ResearchとGemini Notebookを組み合わせて調査を溜めていくところまでは、自社だけで十分に運用できます。それを定期的な自動調査に仕組み化したり、調査結果を事業の意思決定・実行にまで活用したい、という段階になったら、プロと組んだ方が早く確実に進められます。
まとめ、そして次の一歩
市場調査・競合調査のAI化は、多くの会社で「聞いてみたけど一般論しか返ってこなかった」で止まっています。Gemini Deep Researchで比較の軸を指定してレポートの土台を作り、Gemini Notebookに溜めて自社だけの調査資産に育て、重要な数値は必ず元の情報源で裏取りする。これだけで、その場限りの「なんとなく調査」から、次の調査でも使える標準的な業務フローに変わります。さらに一歩進めれば、定期的な自動調査にもつなげられます。
まずは1つのノートブックを作るところから、次の調査で試してみてください。市場調査で標準化の型ができれば、営業資料作成、提案書のたたき台づくりなど、他の業務にも同じ考え方を横展開できます。「なんとなく調査」から「仕組み化」、そして「意思決定への活用」まで、どう詰めればよいか相談したい場合は、お気軽にご相談ください。
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