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営業提案書のたたき台をAIで作成する手順【無料・ChatGPT】

2026-09-09

提案書のトーンを揃えたくて、過去に受注した1本を開いてChatGPTに貼り付ける。次の案件でも同じことをして、その次でもまた同じファイルを探して貼り直す。出てくる構成そのものは悪くないのに、自社の実績も、通った提案書の癖も乗らないまま、どこかで見たようなテンプレの域を出ない。「これはうちの提案らしくない」と感じて大部分を書き直すことになり、毎回イチから作っている感覚だけが残ります。この記事で扱うのは、その材料の渡し方と、一度できた型を次の案件へ持ち越す方法です。

新しい営業支援ツールを買う話から始めません。今あるChatGPTと社内にすでにある資料でどこまで行けるかを先に書き、その先で効いてくる仕組みの話は後半にまとめます。

汎用的な提案書になる理由は、プロンプトではなく渡す材料

ChatGPTに提案書の構成を頼むと、たいてい「現状分析」「課題」「提案内容」「導入効果」「スケジュール」といった、それらしい骨子は返してきます。ここまでは無料プランでも十分にできます。

問題は、その骨子の中身が薄いことです。原因の多くは、プロンプトの書き方ではなく、渡している材料が「案件名」と「ざっくりした要望」しかないことにあります。ChatGPTは渡された情報の範囲でしか具体化できないので、材料が薄ければ、どの会社にも当てはまりそうな一般論で埋めてくるのは自然な結果です。

材料を厚くすると、出てくるものは変わります。次に、その材料を実際にどう揃えるかを見ていきます。

手元にある材料を棚卸しする

たたき台の精度を左右するのは、プロンプトではなく渡す材料です。そろえるのは次の3種類。

商談メモと過去の提案書は、社内のどこかに残っていることが多いはずです。厄介なのは実績メモの方で、そもそも資料として持っていない会社が珍しくありません。

実績メモが手元にない場合の作り方

時間をかけてゼロからまとめようとするより、ChatGPTに質問させながら書き出す方が早いです。

これから自社の実績メモを作ります。
まず、あなたから私に質問をしてください。
過去に受注した案件を1件ずつ思い出させるように、
「どんな業種の会社に」「何を」「どんな課題を解決して」
「結果どうなったか(数字があれば)」を1つずつ聞いてください。
5件分たまったら、営業提案書に転用しやすい形で箇条書きにまとめてください。

過去の商談メモや請求書、名刺、メールのやり取りを思い出しながら答えていくだけで、実績メモの初版ができあがります。取引先名を伏せて業種だけで書き出しても、提案書のたたき台には十分使えます。固有名詞を出さずに済む分、社内の他の担当者と共有しやすいメモにもなります。

一度作ってしまえば、次の案件からはこのメモを材料として使い回せます。

提案書のたたき台をAIに作成させる(材料をまとめて渡す)

商談メモ・実績メモ・過去の提案書が揃ったら、1つの会話にまとめて渡します。

無料プランは、ファイルの添付が1日3件までです。混雑時にはさらに下がることがある、と公式ヘルプにも書かれています(File Uploads FAQ)。実績メモは本文に貼り付けるなどして添付を1〜2件に寄せておくと、直しを重ねる余裕が残ります。

営業提案書のたたき台を作ってください。まず優先してほしいことから書きます。

いちばん優先すること:
- 課題の記述には、商談メモにある先方の言葉をそのまま使う。
  こちらの言い回しに置き換えない
- 文体・見出しの付け方・1セクションの分量は、
  過去に採用された提案書に寄せる

型として真似るもの:
- 過去に採用された提案書(構成とトーン)
- 自社の実績・強みメモ(自社をどう説明するか)

今回の中身の出どころ:
- 今回の商談メモ。ここに書かれていることだけを事実として扱う

書き方の指定:
- 「現状・課題」「提案内容」「導入後の姿」「進め方・スケジュール」
  「実績・体制」の順に並べる
- 見出しだけで終わらせず、そのまま提案書の本文として使える
  分量の文章まで書く
- 商談メモにも実績メモにも無い情報(数字・期日・効果・体制)は
  書き足さず、「要確認」と書いて空欄のまま残す

最後の指定は必ず入れてください。「導入後の姿」や「進め方・スケジュール」は特に、材料が足りない箇所をAIが「それらしい」数字や期日で埋めてしまいやすいセクションです。事実と違う実績や期日が紛れ込む原因になります。

商談メモと過去の提案書をまとめて渡し、たたき台を作るまでの3ステップ

一度作った型を、次の案件でも使えるようにする

ここまでの手順は、案件ごとに材料を揃えてChatGPTに渡すところまでです。型として資産化すると、次の案件からの負担が変わります。

GPTsで型を持たせる道は、個人プランでは閉じている

ChatGPTには「GPTs」という機能があります。自社専用のカスタムGPTを作り、実績メモや過去の提案書をあらかじめ「ナレッジ」として登録しておければ、次回からは商談メモを貼るだけで、毎回同じ前提を踏まえたたたき台が返ってきます。型の資産化としては、これがいちばん分かりやすい形です。

**ただし2026年9月時点で、個人のChatGPTアカウントでは新しいGPTを作れません。**公式ヘルプは「新しいGPTの作成と公開は、Free・Go・Plus・Proを含む個人のChatGPTアカウントでは利用できません」と書いています。既存のGPTを使い続けることはでき、編集できるかどうかはプランと権限次第。作成が使えるのはBusiness・Enterprise・Eduのワークスペースで、しかもワークスペースの設定と権限が許可している場合に限られます(ChatGPT Free Tier FAQ)。

ややこしいのは、料金ページの比較表が別のことを言っている点です。「Create & share GPTs」の行は、Freeだけが「No」で、Go・Plus・Proには「Yes」が付いたままになっています(ChatGPTの料金ページ・2026年9月時点で確認)。**月1,400円のGoは、個人がいちばん踏みやすい価格です。**表だけを見て「Goに上げればカスタムGPTを作れる」と判断すると、課金してから作れないことに気づく順番になります。ヘルプの記述の方が新しいので、実際に作りにいく前に上のヘルプを開き、その日の記述を確認してから決めてください。

ただ、カスタムGPTが作れないことと、型を持てないことは別の話です。個人プランで型を置ける場所は、まだ2つあります。

型の置き場所は「プロジェクト」か「共有ドライブ」

1つはChatGPTの中にある「プロジェクト」です。公式ヘルプは「プロジェクトは無料・有料を問わずすべての契約タイプで利用できる」と書いており、プロジェクトごとにファイルと指示を持たせられます。入れられるファイル数はプランで変わり、無料は1プロジェクトあたり5件、Go・Plusは25件、Proや法人向けプランは40件です。プロジェクトに書いた指示は、アカウント全体のカスタム指示より優先されます(Projects in ChatGPT)。実績メモと過去の提案書を最初に1度だけ置いてしまえば、案件ごとに添付するのは商談メモだけになるので、先ほどの「1日3件」に当たる場面もかなり減ります。

もう1つは、ChatGPTの外、共有ドライブの1フォルダです。実績メモ・受注に至った提案書1本・毎回使うプロンプト文をまとめて置き、案件のたびにそこから添付します。毎回ひと手間かかる代わりに、担当者が代わっても型が残り、ChatGPTを開かない人とも同じ材料を共有できます。

**毎回の手数を減らしたいならプロジェクト、担当交代やチームでの共有まで見るなら共有ドライブ。**両方を使ってもかまいません。共有ドライブを正本にして、プロジェクトにはその写しを置く形です。ファイルは1つあたり512MBまで、テキスト系は1ファイル200万トークンまで扱えるので、置き場所として容量が問題になることはまずありません。同じヘルプに、保存容量の上限はチャット・プロジェクト・カスタムGPTのナレッジをまたいで共通、とも書かれています(File Uploads FAQ)。

過去の提案書がPowerPointのスライドしかない場合は、要点をテキストでも書き出したものを一緒に置いてください。ChatGPTがファイルから取り出すのはデジタルテキストだけで、埋め込まれた画像は破棄されます(PDFの画像まで読めるのはEnterpriseのみ)。図版に情報が寄っているスライドほど、テキスト側を用意しないとトーンも構成も伝わりません。

型を1箇所に固定しておくという考え方は、そのまま次の仕組み化の話につながります。

商談メモを置くだけで動く仕組みにする

前半で作った実績メモが溜まってくると、次の段が見えてきます。材料を集める作業そのものを省くなら、商談メモを共有ドライブの決まったフォルダに置くだけで、自動的に自社の実績データベースと突き合わせながら提案書のたたき台が生成される、という仕組みがあります。Google Driveへのファイル追加をトリガーにして、ZapierやMake、GAS(Googleの無料の自動化機能)などで「テンプレへの流し込み」までを自動化する形が代表的です。

自社で組むなら、先に決めておくことがあります。どのフォルダを見張って起動のきっかけにするか。溜めた実績メモのどこと突き合わせるか。出来上がったたたき台をどこに出すか。ここは扱う案件の数と、既存の顧客管理の形によって変わります。

**どこまで自分たちでやり、どこから人に頼むか。**僕の見立てでは、材料を揃えてプロンプトを固めるところまでは、営業担当が自分でやった方が早いです。何を渡すと何が返ってくるかの感覚は、外から与えられても身につきません。線を引くなら、フォルダ監視やテンプレへの流し込みのように「動かし続ける必要が出る」ところからです。作った当人しか直せない自動化は、その人が異動した月に止まります。誰が触っても直せる形にしておくことも含めて、設計の話になります。

チーム全体でルールとして揃える段になったら、営業だけの話では収まりません。生成AIを社内で使う線引きの決め方は生成AIを社内に定着させる進め方にまとめています。

提案書のあとに続く工程まで、同じ場所で回す

提案書は出して終わりではありません。先方の反応を受けて直し、見積もりを添え、次の商談へ進んでいきます。この一連の流れごと同じ場所で回せると、案件全体の速度が変わります。

提案書と見積書を別々に作っている会社は多いと思いますが、この2つは同じ案件情報から出てくるものです。前の段で「型を1箇所に固定する」と書きましたが、その置き場所を、資料をしまう場所ではなく作業する場所ごと1つにしてしまうやり方もあります。たとえばClaude Codeという開発環境に案件のフォルダごと持ち込めば、商談メモから提案書の本文を起こし、そこで決めた作業範囲をそのまま見積の項目に落とし、単価表と突き合わせて金額を入れ、次回の商談に向けた想定質問まで並べる、という組み方ができます。画面を移らずに済むので、先方から「金額感だけ先に知りたい」と言われたときも、提案書を書いたその場で見積を返せる形になります。

TAIDAIで実際に動いているのは、このうち見積の側です。過去の案件で提示した単価を1枚のベース表にまとめておき、案件ごとに項目と数量を書いた仕様ファイルを用意すると、明細がその表を参照する形で見積書が組み上がり、提出用のPDFを書き出すところまで手元で完結しています。単価はベース表の1箇所を直せば明細の全行が追随するので、同じ金額を何箇所にも打ち直すことはありません。提案書の側はまだこの流れに載せていませんが、同じ案件フォルダで商談メモから作業範囲を起こし、それを仕様ファイルの項目に渡す形に寄せることはできます。

商談の議事メモそのものをAIで残す手順は議事録をAIで自動作成する手順にまとめています。提案書の材料になるのは結局この記録なので、先に整えておくと後が楽です。

どこまで任せるかは、商談の進め方や扱う情報の重さによって変わります。提案から見積、次の商談までを一続きで回すなら、その線をどこに引くかを先に決めるところが設計の中身になります。

提案書ならではの落とし穴

生成された数字は、資料に載せる前に元の実績と突き合わせる

プロンプトで縛っても、AIが数字を補ってくることはあります。実績・導入効果・件数は、送る前に必ず人の目で実績メモと照合します。提案書は先方の社内で回覧される資料なので、一度出した数字は取り消しが効きません。

商談メモに含まれる機密情報の扱いを事前に決めておく

商談メモは、AIに渡す資料のなかで一番扱いが難しいものです。先方の社内事情や、まだ表に出せない契約条件が書かれていることがあります。個人向けのプランは既定で、入力した内容がモデルの改善に使われます。設定 →「データコントロール」→「Improve the model for everyone(すべての人のためにモデルを改善する)」をオフにすると止められます。この設定は端末単位ではなくアカウント単位で効きます(OpenAIヘルプ「Data Controls FAQ」)。社名と金額を伏せた状態でも、課題と要望が残っていればたたき台は作れます。どこまで伏せるかを最初に決めて、チームで揃えておいてください。

出てきた文章を、提出する形式まで持っていく

ChatGPTが返してくるのは文章です。提案書をPowerPointで出す会社は、ここからスライドに移す作業が残ります。文章のまま清書するなら、見出しと本文をそのままWordに貼って書式を当てるだけで済みます。スライドにするなら、たたき台の段階で「1スライド1メッセージになるよう、各セクションを見出し1行と本文3行以内に整理して」と追加で頼み、その形で出力させてから貼るのが早いです。文章として完成させてからスライドに割り直すと、削る作業が二度手間になります。

トーンの参考にする1本を、意識的に選ぶ

過去の提案書ならどれでもよいわけではありません。実際に受注に至った1本を選んでください。そのうえで、語尾の硬さ・見出しの付け方・図表の量のうち、どれを真似させたいのかまで書き添えます。「この提案書のトーンで」とだけ伝えると、AIは表面的な言い回しを真似て、肝心の構成の癖を拾いません。

よくある質問

有料プランに上げれば、GPTsで型を持てるようになりますか?

個人アカウントであれば、Free・Go・Plus・Proのどれに上げても新しいGPTは作れません。作成が使えるのはBusiness・Enterprise・Eduのワークスペースで、しかもワークスペースの設定と権限が許可している場合だけです。個人で型を持つなら、この記事で書いたプロジェクトか共有ドライブのどちらかを使ってください。

商談メモは、そのままAIに渡してよいですか?

先方の社内事情や、まだ表に出せない契約条件が書かれていることがあるので、社名と金額を伏せてから渡すのを既定にしておくと安全です。課題と要望が残っていれば、たたき台は十分に作れます。あわせて、個人向けプランの「データコントロール」の設定を先に確認しておいてください。

過去に採用された提案書が1本も無い会社は、どうすればいいですか?

まず実績メモだけを先に作り、それを材料に1本目のたたき台を出します。その1本が受注に至ったら、以後はそれをトーンの参考として使い回せます。型は最初から手元にあるものではなく、1本目を通した時点で生まれるものだと考えた方が進みます。

まとめ

提案書が汎用的になるのは、AIの性能の問題ではありません。渡している材料が「案件名」と「ざっくりした要望」しかないからです。商談メモ・自社実績・過去の採用提案書。この3つを揃えて渡すだけで、返ってくるものは変わります。

手を動かす順番としては、実績メモを1本作るところからをおすすめします。商談メモと過去の提案書は社内にありますが、実績メモだけは作らないと出てきません。そこさえ埋まれば、次の商談から材料が3つ揃った状態で始められます。

作った型を営業チーム全体で回す形にしたい、あるいは商談メモを置くだけで動く仕組みまで組みたい、という段階でしたら、設計からお手伝いします。

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